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インディアン・ドリーム:Notion Ink ADAM

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Notion Ink社のADAMについての記事 (2/17)を書いてから、3ヵ月になるが、いまだにアクセスが途絶えない。インドのiPadキラーということで注目が高い割に情報が少ないから集中するようだ。来月には登場する予定だったが、同社は4月にFlashの確定版との関係など、対外要因による遅れの可能性も示唆しており、少し遅れる公算が強い。アダムはリンゴを食べて楽園を追われたが、このアダムはどうなるか。まずADAMのスペックを超え、興味の尽きない創業者たちについて知っておこう。

インドのアップル(もちろん昔の)のインディアン・ドリーム

「インド出身の技術者やデザイナーが、すでにマイクロソフト、インテル、アップルなどで創造的な仕事の多くを担っていることはよく知られている。われわれに必要なのは、最初の一歩を踏み出すことだけだった。」(ロハン・シュラヴァン)

Notion Ink社はインドのハイデラバード市に本社を置くベンチャー企業で、MBAの一人を除きすべてインド工科大学出身という7人の俊英によって2008年7月に創業された。CEOのロハン・シュラヴァン (Rohan Shravan=写真中央)は同年に大学を卒業している。他の6人もすべて2007-8年の卒業だ。平均年齢はじつに24歳。4名は西ベンガル州にある名門のIITカラグプール校卒業で、幼なじみという。これほど若い企業はそう多くないだろう。(ビデオを参照)

もちろんADAMは最初の製品だが、“iPad対抗”という過分なまでの注目を集めたのは、ひとえにハードウェア構成があまりに豪華だったためだと言えよう。今年発表された1ダース以上のタブレット製品の中でも群を抜いている。CPUにARM Cortex A9、GPUにNvidia Tegra 250を使用し、HDビデオ再生をサポート、Pixel Qiのデュアルモードディスプレイを採用。豊富なI/O、内蔵カメラ (x2)などを搭載しながら、薄さ12.9mm以下、重量771gに抑えている。およそ現時点でハードウェアに期待されるすべて、と言っても過言ではないだろう。

iPadとはコンセプトがまったく異なり、しかもまだ実際に値札を付けた現物が売りに出ているわけではないのだから、スペックの優劣比較は意味がないが、iPadが(予想通り)おそろしく強気な、専制的とも言える姿勢を、Flashやアプリ開発者に対してとっているだけに、もう一方の極としてADAMの登場を待ちわびる人も多いだろう。HPのWebOS機(?)には当面あまり大きな期待をかけられない。PC、Webへと発展した過去30年の「オープン」化のトレンドをモバイル時代に後退させないためには、強力なハードウェアを持ったオープンな製品が成功することが必要だ。

シュラヴァンCEOのブログから開発思想を知る

Notion Ink社からの情報は、これまでのところ非常に限られており、Webサイトも「準備中」のページが多い。しかし、シュラヴァンCEOのブログは面白い。iPadが発売された4月3日の記事は、6月と予告された発売時期について書いてある。それによると、同社に関する限り、準備は整っているが、他社との関係で遅れることもあり得るようだ(例えばFlashの安定したバージョンを得てから発売までに2ヵ月かかるという)。またG3回線を提供する電話会社との契約なども終わっていないことがうかがえる。してみると6月は難しく、今秋にずれ込むかもしれない。

4月3日のブログには、ほかにイノベーションと工学、マーケティングなどについて書かれており、読みごたえがあった。この若い会社の若いCEOが非凡な人間であることを感じさせるに十分だ。機械工学出身の彼は、最新の家電製品の設計には、自動車工学や、金属加工(成形、切削、穿孔)の技術が導入されていることに注目し、また「操作する」から「感じる」設計を実現したアップルを称賛している。そして、いつか温度を18℃以下に保ち、スクリーンをドラム代わりに叩いて練習できるアプリを実現したい、といくつかのアイデアを披露している。

iPhoneの経験を経たiPadのタフさは、YouTubeなどで「ストレステスト」ビデオをご覧になった方はご存じと思うが、ハンパではない。スマートフォンやタブレットなど、シンプルな情報家電製品ほど、「モノづくり」への意欲を刺激するようだ。シュラヴァンCEOは、堅牢性や生産ラインの重要性、モノとUIを融合したアップルのデザインの真価を十分に認識しており、ADAMもたんなるスペックの塊ではないことを感じさせる。

同じく4月3日の記事では、コンテンツなどについて書いている。まだ守秘義務の関係で発表できないが、現在多くの企業と提携を拡大しているとのこと。基本的には種々多様なコンテンツを利用できる環境としたいようで、とくに学生が利用可能な、安価な教育コンテンツに注目している。(とくにインドの)大学への浸透は同社のマーケティング戦略の柱であるようで、開発人材確保、販路拡大、コンテンツ充実にもつながる。IITは卒業生を含めて強力なネットワークを持っており、それだけでも大きなコンテクスト資源だ。Notion Ink社のタッチスクリーン技術は、バンガロールの国立デザイン研究所 (National Institute of Design)と共同で開発されている。

TwitterFacebookでは頻繁な情報提供行っており、フィードバックも見ることができる。われわれも最新情報は適宜フォローしていきたい。(鎌田、05/19/2010)

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